モザンビーク共和国に対する無償資金協力3件に関する書簡の交換

令和6年3月12日
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3月8日、外務協力省内にて、濵田圭司駐モザンビーク共和国日本国特命全権大使と、ヴェロニカ・ナタニエル・マカモ・デリョーヴォモザンビーク共和国外務協力大臣及びジェーン・マリー・オンゴロ国連薬物犯罪事務所(UNODC)南部アフリカ地域事務所長との間で、モザンビークに対する3件の無償資金協力に関する書簡の交換が行われました。対象案件の概要は、それぞれ以下のとおりです。
 
1(1)無償資金協力「カーボデルガード州におけるテロ対策能力強化計画(UN連携/UNODC実施)」(供与額10.08億円)
モザンビーク北部のカーボデルガード州では、2017年以降、武装集団による襲撃事件が発生しています。同州の治安悪化を受け、2021年以降、同州のアフリカ最大規模の液化天然ガス(LNG)開発事業は中断されています。同事業再開のためには、モザンビーク治安部隊のテロ対策能力の強化が急務となっています。
この協力は、同州において、法執行機関及び関連司法機関に対する包括的な技術支援及びインフラ整備を実施することにより、陸上及び海上犯罪の取り締まり能力の強化を図り、もって同国の同州復興及び治安改善に寄与するものです。また、同州におけるテロ及びジェンダーに基づく暴力の被害者の多くは女性であることから、「女性、平和、安全保障(WPS)」に関連する協力として、女性の人権保護に留意した、テロ関連犯罪の捜査、訴追、裁定を含む人材育成プログラムの提供とともに、治安・刑事司法機関における女性の代表性を強化すべく、女性職員の優先的な参加を奨励することとしています。
 
(2)無償資金協力「経済社会開発計画」(テロ・治安対策関連機材(車両及びバイク)供与)(供与額3.8億円)
上記1(1)のとおり、カーボデルガード州では、治安改善が急務となっているものの、犯罪の検挙やパトロールを行う警察等が必要とする車両が不足しています。
本協力では、上記1(1)の協力と連携し、モザンビーク政府に対し、日本企業製品を含むテロ・治安対策関連機材(車両及びバイク)を供与することで、治安対応能力の強化を図り、もって社会の安定化を通じた同国の経済社会開発に寄与するものです。
 
昨年11月の日・モザンビーク外相会談では、新たな開発協力大綱で打ち出したオファー型協力も活用し、カーボデルガード州の安定化及び北部地域全体の成長につながる多角的な開発を共に進めていくことの重要性を確認し、実現に向けて調整していくことで一致しました。上記(1)および(2)の協力は、昨年11月の日モザンビーク外相会談でのやり取りを具体化するものであり、これらの協力を通じて、二国間関係の更なる強化及び、モザンビークの公正かつ持続的な開発や質の高い成長を支援するとともに、エネルギー危機の中で重要性を増しているLNGの安定供給に貢献することが期待されます。
 
2 無償資金協力「ナカラ緊急発電所整備計画」(供与限度額を 69.5億円に変更)
 南部アフリカの内陸国をインド洋へと連結するモザンビーク北部のナカラ回廊は、石炭などの天然資源や広大な土地、水資源などに恵まれ、我が国が、円借款で整備したナカラ港を基軸とした開発・産業振興が期待されています。
この協力は、ナカラ回廊の玄関口に位置するナカラ市において、今後の電力需要の増加を見据え、ナカラ緊急発電所整備のための機材を供与することにより、ナカラ回廊地域一帯に安定的な電力供給を図り、もって同国の回廊開発を含む地域経済活性化に寄与するものです。
今回の協力は、昨今の物価高騰等の影響による資金不足を受け、2019年12月に署名した供与額40.84億円の無償資金協力を供与限度額69.5億円に変更するものです。