2021年の日・モザンビーク関係(令和4年天皇誕生日に際する大使寄稿文)
令和4年3月16日
令和4年2月
本年2月23日は天皇陛下の62回目の誕生日であり、日本政府は、この日をナショナルデーとして祝賀しています。当館では、例年、天皇誕生日レセプションを開催し、モザンビークの皆様とともに天皇陛下の誕生日を祝福していますが、昨年に引き続き、本年も新型コロナウイルス感染症の感染防止のためやむなく中止することとしました。そこで、これも昨年と同様ですが、レセプションに代わり、過去1年間における日本とモザンビークの友好関係の進展について報告します。
日本政府は「自由で開かれたインド太平洋」の観点から、ルールに基づく国際秩序を構築し、自由貿易や航行の自由、法の支配といった地域の安定と繁栄を実現する上で、欠くことのできない原理・原則を定着させていくことを外交の柱の1つとしていますが、日本とは海で結ばれている隣国であるモザンビークは、我が国にとって、非常に重要なパートナー国の一つです。
この数年は新型コロナの影響があったものの、二国間の経済のつながりは年々強固なものとなっています。10年前と比較すれば、モザンビークから日本への輸出はおおよそ2倍、日本からの輸入は2.5倍に増えています。モザンビークに進出する日本企業の数も同様に過去10年で2倍に増えています。昨年は、日本企業が自動車販売・自動車整備サービス分野に進出してきました。最近では、モザンビーク国内市場の成長を見越して、モザンビーク進出を検討する日本企業も増えております。2020年12月にモザンビークを訪問した茂木前外務大臣は、日本から官民合同ミッションを派遣する旨述べましたが、更なる経済交流の促進のため、新型コロナウイルス感染症が落ち着けば、同ミッションをモザンビークに派遣したいと思います。
この新型コロナウイルスの流行は未だに国際社会に多大の影響を与えております。日本は、その感染症対策として、ワクチンを一人ひとりに届ける「ラスト・ワン・マイル支援」に尽力してきました。具体的には、2021年4月にUNICEFへの総額723,310米ドルのコールド・チェーン整備のための緊急無償資金協力を決定しました。また、6月には新型コロナウイルス感染症危機対応緊急支援計画(総額4.3億円)を決定し、ワクチン輸送用保冷機能付き車両等の機材を整備するための支援を実施しています。
多くの犠牲者を出しているカーボデルガード州の治安問題については、日本政府も引き続き懸念を表明しているとともに、様々は支援を継続して行っています。例えば、2021年3月にカーボデルガード州における飲用水へのアクセスの向上を目的に浄水車の供与を決定しました(総額5億円)。また、7月に、WFPへ総額2億円の食糧援助を決定し、さらに8月に、モザンビークの海上監視能力の強化を図り、麻薬密輸及び違法漁業の取締の強化に寄与するため、沿岸警備隊に対して総額7.5億円の巡視艇供与を決定しました。12月には、国内避難民及びホストコミュニティに対するプロテクション、食糧安全保障、生計及び保健分野への支援、復興支援、紛争により影響を受けた女性及び少女への支援のため、各種国連関係機関へ総額490万米ドルの拠出を決定しました。日本政府は、その他にも様々な開発援助関係事業を実施しております。その一つの例として、職業訓練センターの整備があげられます。無償資金協力「職業訓練センター整備計画」(8億8,000万円)によって、マプト州マトラ市、ナンプラ州ナカラ市及びザンベジア州ケリマネ市の職業訓練センターの施設拡充及び機材整備を実施しました。この支援により、毎年多くの人々が職業訓練を受けることができるようになり、地域経済の活性化に貢献することが期待されます。この他に、様々な分野で技術協力を実施しており、現在14件のプロジェクトを実施中です。また、留学生も受け入れており、昨年は25人が渡日しています。
当館の広報文化活動については、新型コロナウイルスの影響を大きく受けておりますが、我が国とモザンビークとの相互理解の促進のため、2021年6月には、茶道デモンストレーションを実施し、モザンビークの方々に茶道の作法や茶道用の緑茶と和菓子を体験していただきました。また、当館のインスタグラムやフェイスブックで、日本の文化や生活、日本への留学等に関する様々な情報を引き続き発信しております。さらに当館は当地のテレビ局と連携し、日本のアニメ、日本の日常生活や伝統文化・現代文化等に関するビデオクリップが放映されております。
今後とも、二国間の友好関係の促進のため全力を尽くしていく所存です。